とある法学部生ブログ

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コロナを他人に移したら罪に問われる?~札幌市の事案から~

 札幌市は7月7日に、市の職員がコロナに感染したことを公表しました。その職員は6月29日に15人のマスクを着用していない団体に対応していました。また、前日にその団体に対応した北海道の職員の感染も確認されたとのことです。

 

ほんとに迷惑な話ですよねー。ちゃんとマスクを着用してほしいものですね。

 

今回の場合、この団体員は職員にコロナを移したとして、何らかの罪に問われるのでしょうか?答えはNoです。

 

そもそも感染症を移すという行為には傷害罪が成立する可能性があります。感染症に傷害罪が成立する可能性があると聞いて、疑問に思う方もいるかもしれません。私も刑法を初めて学んだ時に疑問に思いました。

 

現在傷害罪の「傷害」とは、「身体の生理機能の障害または健康状態の不良な変更」と理解されています。そのため、感染症を移すことは、生理的機能を害していることになるので、傷害罪になります。

 

判例でも、次のように述べています。

 

傷害罪は他人の身体の生理的機能を毀損するものである以上、その手段が何であるかを問はないのであり、本件のごとく暴行によらずに病毒を他人に感染させる場合にも成立するのである。

                  (最高裁判所昭和27年6月6日付判決) 

 

これまでの流れを見れば、団体員は傷害罪になりそうですが、罪が成立するためには、因果関係が必要とされています。因果関係とは処罰の対象となる行為と結果の間に必要な一定の関係の事です。

 

例えば、人をナイフで刺して殺したという場合を考えてみましょう。この場合にはナイフで人を刺すという処罰の対象となる行為と、刺された人が死ぬという結果に因果関係が成立し殺人罪になります。

 

今回の北海道の事案を見てみると、ノーマスクの団体員が職員と接した時に、コロナが移ったという事を証明できれば因果関係が認められ、傷害罪が成立するかもしれません。ですが、感染症が誰から移されたのかを知ることは不可能なため、団体員には傷害罪が成立しません。

 

 

かなり長い文章でしたが最後まで読んで頂き、ありがとうございます!今後はもっと記事が読みやすくなるように頑張ります!感想や質問がありましたら、ぜひコメントしてください。お待ちしてます!